在留外国人の推移

日本における外国人の数は、過去20年以上にわたり増加傾向にあり、特に近年は急速に伸びています。2004年には197万人でしたが、2015年には223万人、2020年以降は新型コロナの影響で減少した時期はありましたが、2022年から再度増加が始まり2024年には377万人となりました。在留外国人の増加数も2022年は14万人でしたが、2024年は36万人の急激な増加となっています。アジア諸国からの流入が多く、ベトナム、中国、ネパール、インドネシアが顕著となっています。

在留外国人増加の背景

在留外国人の増加は単なる人口の変化ではなく、日本社会の構造的課題と国際化の進展を反映した現象です。

少子高齢化を背景とした労働力不足

日本では生産年齢人口(15〜64歳)が減少しており、特に建設・介護・農業・外食などの分野で深刻な人手不足となっています。これを補うため、外国人労働者の受け入れが積極的に進められています。

政府の受け入れ政策

特定技能制度(2019年開始)や技能実習制度の拡充により、外国人が働きやすい環境が整備されてきました。在留資格の多様化も増加の一因です。

インバウンド需要、留学など

コロナ禍の収束に伴い、観光業や飲食業などで外国人労働者の需要が再び高まりました。日本の大学や専門学校に留学する外国人も増加しており、留学後に日本で就職・定住するケースも増えています。

在留手続きはとても煩雑

外国人の増加に加え法制度も複雑化しており、在留資格の種類の増加や新たな在留資格制度の開始など、日本における外国人の在留手続きは非常に煩雑で負担が大きくなっています。

1. 書類の種類が多く、専門的

  • 在留資格の申請・更新には、雇用理由書、登記事項証明書、納税証明書、事業計画書など多岐にわたる書類が必要です。
  • 書類の内容も専門的で、法的・経済的な根拠を求められることが多く、外国人本人や企業担当者にとっては負担が大きいです。

2. 審査が厳格

  • 特に「経営・管理」などの在留資格では、事業の収益性や将来性まで審査対象となり、起業家にとってはハードルが高いです。
  • 審査の遅れによって銀行口座が凍結された事例もあり、生活や事業に深刻な影響を与えることがあります。

3. 更新頻度が高い

  • 多くの在留資格は1年または3年ごとの更新が必要で、毎回同様の煩雑な手続きを繰り返す必要があります。
  • スタートアップビザなどは6か月ごとの更新が必要で、安定した生活基盤の構築が難しいという声もあります。

日本政府は外国人起業家や高度人材の受け入れを促進するため、スタートアップビザの期間延長や支援体制の強化を進めています。

在留手続きは、外国人本人だけでなく、雇用する企業や支援団体にとっても大きな課題です。

申請取次行政書士とは

そもそも行政書士は、行政書士法第1条の2第1項において「他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出っする書類(省略)、その他権利義務又は事実証明に関する書類を作成することを業とする。」とされています。

入管業務における在留資格申請書類は「官公署(=出入国在留管理庁)に提出する書類」に該当するため、行政書士が業務として取り扱うことが可能ですが、出入国管理及び難民認定法(入管法)第61条の9の3 第1項では外国人が在留資格の申請などを行う際には、原則として本人が出頭して申請を行うことが求められていますが、例外的に法務省告示で「申請取次制度:申請取次者として認定された行政書士・弁護士のみが、外国人本人に代わって申請を行うことができる」と定めらました。「申請取次行政書士」とは、外国人が日本で仕事や勉強をする際に必要となる「在留資格」の申請手続きを、本人が出頭することなく、本人に代わり入国管理局へ取り次ぐ資格をもった行政書士です。申請取次資格を持たない行政書士は書類作成はできますが、申請する場合には本人が出頭しなければなりません。

申請取次制度の利点(申請取次制度ができた理由)

本人出頭の負担軽減

  • 外国人本人が地方出入国在留管理局に出頭することは、時間的・地理的・言語的な負担が大きい。
  • 遠隔地に住んでいる、仕事や学業で忙しい、体調が悪いなどの理由で出頭が困難なケースが多発。

入管窓口の混雑緩和

  • 入管窓口は日々多くの申請者で混雑しており、対応に時間がかかる。
  • 専門家による申請取次を認めることで、窓口業務の効率化を図る狙いがある。

申請の質と正確性の向上

  • 行政書士や弁護士など、法令に精通した専門家が申請を行うことで、書類の不備や虚偽申請のリスクを低減。
  • 審査の迅速化にもつながる。

外国人の安心と利便性の確保

  • 日本語や制度に不慣れな外国人にとって、専門家のサポートは大きな安心材料。
  • 生活や就労に集中できる環境を整えることができる。

申請取次行政書士になるには

申請取次行政書士になるためには、行政書士の資格試験に合格するなど行政書士になる資格を取得し、日本行政書士会連合会に行政書士の登録をしたうえで、以下の手続きが必要となります。

講座を受講

日本行政書士会連合会が実施する出入国管理に関する講座を受講します。これはVOD方式です。必指定された講義(5講座)をすべて受講することが必要です。また、受講後はそれぞれ「修了証」を取得し、後の申請時に提出することになります。

効果測定

すべての講座を受講後、理解度確認のためにマークシート方式の効果測定を受けます。

日本行政書士会連合会へ課題の提出と効果測定の採点

講義を受講し、効果測定を実施したら、各講座の修了証と効果測定解答用紙を日本行政書士会連合会に提出します。日本行政書士会連合会では効果測定の採点を行います。

結果の通知

日本行政書士会連合会では効果測定の採点結果に基づき、基準を満たしている場合には研修会の「修了証書」を発行します。

所属単位会を通じて申請取次行政書士の届け出を申請

各所属単位会(東京都行政書士会など)に「申請取次申出書」、「誓約書」、「修了証の写し」などの必要書類一式を提出し、その単位会から各地方出入国在留管理局長あてに届け出ることとなります。

届出済証明書(通称「ピンクカード」)の発行

所属単位会を通じて、地方出入国在留管理局より届出済証明書(ピンクカード)が交付されます。

オンライン申請にも申請取次資格が必要

出入国在留管理庁に対する在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、在留資格取得許可申請、再入国許可申請、資格外活動許可申請、就労資格証明書交付申請などについては、オンライン申請が可能です。インターネットによりいつでも無料で在留手続きの申請を行うことができ、在留資格認定証明書を電子メールで受け取ることができます(郵送での受け取りも可)。

申請等取次者である行政書士は、この在留申請オンラインシステムを利用して、オンラインで申請することができます。逆に、申請取次資格をもたないと、在留申請オンラインシステムを利用しての申請はできません。

申請取次行政書士としての遵守事項

  • 行政書士法及び関係保冷並びに行政書士会会則、規則等に従い、書類作成代理人として申請書等を作成すること
  • 申請内容を十分に把握したうえで、事実に基づいた申請等の取次を行うこと
  • 依頼人(申請人等)に会って直接話を聞くこと。依頼人(申請人等、就労系在留資格においては所属機関も含む)に必ず面談し、申請人本人にも従事する職務内容及び雇用条件等の確認の上、申請等の取次を行うこと。但し、やむを得ない事情で直接面談することができない場合は、テレビ電話やテレビ会議システムを使用し、かつ、依頼者に在留カード又は旅券等の写真入りの身分証明書(IDカード)又はこれらに準じた身分の確認できる証明書を提示してもらって本人確認をした上で、面談すること
  • 申請人の活動を決して偽らず、許可を受けさせることを目的として、資料等の内容が偽りであると知りながら地方出入国在留管理局に提出しないこと
  • 申請人又は入管法上の代理人から直接依頼を受けることなく、第三者を介して依頼を受けた申請等の取次を行わないこと。
  • 申請人に対して丁寧なヒアリングを行い、充分なコミュニケーションを図ること
  • 申請人に対し、申請内容に係る虚偽の説明を行わないこと
  • オンライン申請を利用する場合、自身の認証IDを他社に使用させないこと
  • 申請の為、在留カードを預かるときは必ず在留カードの写しを交付し、申請人に携帯するように説明すること
  • 申請後、地方出入国在留管理局より追加資料の提出等を求められたときは速やかに対応すること
  • 申請後は速やかに預かった旅券及び在留カードを申請人に返却すること
  • 誇大広告や強引な勧誘によって、必要以上に許可の可能性をうたわないこと
  • 地方出入国在留管理局の敷地内及び周辺並びに経路において、行政書士の信用又は品位を害するような広告・宣伝やビラ配布等の行為をしないこと

(東京都行政書士会通知からの引用)

在留手続きのご依頼は申請取次行政書士にお任せください

以上、申請取次行政書士についてご説明しました。在留資格の申請をする人にとって、面倒で難しい書類作成、本人出頭義務の免除など、多くのメリットがあります。

在留資格の申請は、ぜひ、申請取次資格をもった行政書士にお任せください。

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