
在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは、日本国内において会社等との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野若しくは法律学、経済学、社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動のためのものです。該当例としては、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等があげられます。
専門知識や技術を日本で活かすことを目的とし、取得には大卒資格や10年以上の実務経験が求められます。就労が可能な在留資格の中では、「技人国」は技能実習に次いで多く(永住者を除く)、2024年時点で約39万人います。事務職やエンジニアなど、いわゆるホワイトカラーの外国人が取得できる在留資格であり、更に高度な人材の対象としては「高度専門職」があります。
具体的な職種は
技術分野(理系)自然科学や工学系の知識を活かす職種
- システムエンジニア:ソフト開発、システム設計開発など
- プログラマー:プログラムの作成、デバッグなど
- 情報セキュリティ技術:ネットワーク管理など
- 機械設計技術:機械製品の設計開発など
- 建築・土木技術:建築物や構造物の設計、施工など
- バイオ・化学技術:バイオ関係研究開発など
人文知識分野(文系)社会科学や人文科学の知識を活かす職種
- 経理・財務:会計処理、財務分析など
- 人事・総務:労務管理、社内規則など
- 法務:契約、法律関係業務など
- 営業・マーケティング:市場調査、営業活動など
- 経営企画:経営分析、企画など
国際業務分野 外国文化や言語を活かす職種
- 通訳・翻訳:会議通訳、文章翻訳など
- 語学教師:英会話などの語学指導
- 海外業務・貿易:輸出入業務、海外との取引など
- デザイナー:装飾、衣装などのデザインなど
在留資格「技人国」のメリット
| メリット | 具体的内容 |
| 申請しやすい要件 | 高度専門職ビザよりも要件が緩やかで、学歴または実務経験があれば申請可能 |
| 長期の就労が可能 | 最長5年の在留が認められ、更新も可。安定した働き続けることができる。 |
| 専門職に特化したスキルアップ | ITエンジニア、通訳、マーケターなど、専門性の高い職種で働くことでスキルアップも可能 |
| 給料水準が日本人と同等 | 日本人と同等以上の給与。(高度専門職のような高年収要件はない) |
| 家族帯同かできる | 配偶者や子どもを「家族滞在ビザ」で呼び寄せることができる。 |
| 企業にとって雇用確保機会 | 人材不足に対応できるほか、海外展開や多言語対応など、国際的な業務に強い人材を確保できる |
※注意点
| 注意点 | 具体的内容 |
| 学歴、職歴との関連性は必要 | 従事する業務と直接関連する学歴、職歴が必要です。 |
| 単純労働は不可 | 清掃、受付、工場でのライン作業など専門性のない単純作業や繰り返し作業は認められません。 |
| 業務の専門性が必要 | 実際の業務が専門性を必要とするかが審査されます。 |
| 会社の安定性が必要 | 雇用する会社の業績安定性、赤字や設立直後の企業は、事業の継続性や報酬の妥当性などをしっかり説明する必要があります。 |
| 更新時の審査がある | 異動などで業務内容が変わった場合、更新時に不許可になることもあるので注意。部署異動などは慎重に対応する必要があります。 |
在留資格「技人国」の基本的取得要件 4つ
在留資格「技人国」の取得要件は学歴(専攻分野)や職歴が、従事予定の業務と直接関連していること必要となります。例えば、大学で法律を学んだひとが、IT企業のシステムエンジニアとして技人国ビザの申請をしても許可されません。
1.学歴又は実務経験
(学歴要件)
・現地の大学卒業(学士以上)または
・日本の専門学校卒業(専門士または高度専門士)以上
「大卒」の要件については、海外の大学、日本の大学のいずれも可能ですが、日本の大学と同等以上の教育機関であることが必要です。また、大学には短期大学も含まれます。
「日本の専門学校卒業」の要件ですが、専門課程を修了していることのほか、「専門士」又は「高度専門士」を証することができることが必要です。また、外国の専門学校を修了したことは要件を満たしていません。
(実務経験)
・10年以上の実務経験(国際業務の場合は3年以上でも可)
「実務経験」は、学歴が要件を満たさない場合の代替手段として認められるものですが、単純労働や補助的業務は実務経験として認められません。専門的な知識や技能を要する業務であることが必要です。なお、高校や専門学校などで関連分野を学んだ期間も、実務経験年数に加算できる場合があります。
2.企業側の事業の安定性、継続性、適正性
企業の経営状況も審査対象となります。外国人労働者が安定した雇用環境で働けることを確認するためです。
- 継続的な事業活動が見込まれること
- 財務状況が健全であること
- 労働関係法令を遵守し適切な労働環境を提供していること
3.給与が日本人と同等以上とすること
在留資格「技人国」で雇用する場合、同じ業務であれば外国人と日本人との給与に差があってはいけません。労働関係法令の「同一労働同一賃金」の原則により、仕事の内容や責任が同じであれば、国籍や雇用形態に関わらず全員に同一の賃金を支払わなければならないという規定があるからです。
4.素行が善良であること
外国人労働者自身の素行も審査対象となります。以下のようなケースは不許可となるので、充分な注意が必要です。
- 犯罪行為を犯したことがある
- 各種税金の滞納・未納がある
- アルバイトで国が定める労働時間の規定を破ったことがある
軽微な違反、例えば過去に駐車違反を1回したが、その後は違反をしていないなど改善の姿勢が見られれば許可される可能性はあるようです。
受入企業のカテゴリー分類
技人国ビザの申請において、書類カテゴリーは企業の規模や形態によって異なります。以下は、カテゴリー1から4までの概要です。カテゴリーによって提出書類の種類が異なりますので注意が必要です。カテゴリー1が最も書類が少なく、カテゴリー4が最も多くなります。
| カテゴリー区分 | 受入企業(機関)の態様 |
| カテゴリー1 | ・日本の証券取引所に上場している企業 ・保険業を営む相互会社 ・日本又は外国の国・地方公共団体 ・独立行政法人・特殊法人・認可法人・日本の国・地方公共団体認可の公益法人 ・法人税法別表第1に掲げる公共法人 ・イノベーション創出企業(「イノベーション促進支援措置一覧」) ・厚生労働省、経済産業省、国土交通省指定の一定の条件を満たす企業等 |
| カテゴリー2 | ・前年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表中、給与所得の源泉徴収合計表の源泉徴収税額が1000万円以上ある団体・個人 ・カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関 |
| カテゴリー3 | ・前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く) |
| カテゴリー4 | カテゴリー1,2,3のいずれにも該当しない団体・個人 |
提出書類は、カテゴリーにより異なります。カテゴリーに応じた資料を提出する必要があります。
在留資格「技人国」の申請に必要な書類
必要な書類は原則として以下のものですが、上記のとおり受入企業等のカテゴリー、申請者ごとに追加資料が求められることがありますので注意が必要です。また、提出書類が外国語で作成された提出書類に対して日本語訳を添付する必要があります。
申請人(外国人)の準備する書類 (各カテゴリー共通)
- 在留資格認定証明書交付申請書(出入国在留管理庁のホームページからダウンロード)
- パスポートの写し
- 履歴書(学歴・職歴)
- 最終学歴の卒業証明書および成績証明書
- 写真(横3cm×縦4cm 6か月以内に撮影されたもの) ×1
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの) ×1
- 専門学校を卒業し、専門士又は高度専門士の称号を付与された者については、専門士又は高度専門士の称号を付与されたことを証明する文書 ×1(そのうち、外国人留学生キャリア形成促進プログラムとして認定を受けた学科を修了した者については、認定学科修了証明書 ×1)
- 派遣契約に基づいて就労する場合(申請人が被派遣者の場合)
申請人の派遣先での活動内容を明らかにする資料(労働条件通知書(雇用契約書)等) 1通
カテゴリー1の会社等の場合
- 四季報の写し又は日本の証券取引所に上場していることを証明する文書(写し)
- 主務官庁から設立の許可を受けたことを証明する文書(写し)
- 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業)であることを証明する文書(例えば、補助金交付決定通知書の写し)
- 上記「一定の条件を満たす企業等」であることを証明する文書(例えば、認定証等の写し)
カテゴリー2の会社等の場合
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(写し)
- 在留申請オンラインシステムに係る利用申出の承認を受けていることを証明する文書(利用申出に係る承認のお知らせメール等)[カテゴリー3に該当することを立証する資料を提出した上で、在留申請オンラインシステムの利用申出が承認された機関に限る。]
カテゴリー3の会社等の場合
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表(写し)
- 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(1)労働契約を締結する場合 1通
(2)日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通
(3)外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通 - 申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
(1)申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 1通
(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書
- 大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお、DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。) 1通
- 在職証明書等で、関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学、高等専門学校、高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通
- IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通
- 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通
- 登記事項証明書 1通
- 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1)勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通 - 直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
カテゴリー4の会社等の場合
- 前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を提出できない理由を明らかにする次のいずれかの資料
(1)源泉徴収の免除を受ける機関の場合
外国法人の源泉徴収に対する免除証明書その他の源泉徴収を要しないことを明らかにする資料 1通
(2)上記(1)を除く機関の場合 ・給与支払事務所等の開設届出書の写し 1通 次のいずれかの資料 (ア) 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通 (イ) 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料 - 次のいずれかの資料
(ア) 直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書(領収日付印のあるものの写し) 1通
(イ) 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料 1通 - 申請人の活動の内容等を明らかにする次のいずれかの資料
(1)労働契約を締結する場合 1通
(2)日本法人である会社の役員に就任する場合
役員報酬を定める定款の写し又は役員報酬を決議した株主総会の議事録(報酬委員会が設置されている会社にあっては同委員会の議事録)の写し 1通
(3)外国法人内の日本支店に転勤する場合及び会社以外の団体の役員に就任する場合
地位(担当業務)、期間及び支払われる報酬額を明らかにする所属団体の文書 1通 - 申請人の学歴及び職歴その他経歴等を証明する文書
(1)申請に係る技術又は知識を要する職務に従事した機関及び内容並びに期間を明示した履歴書 1通
(2)学歴又は職歴等を証明する次のいずれかの文書
- 大学等の卒業証明書又はこれと同等以上の教育を受けたことを証明する文書。なお、DOEACC制度の資格保有者の場合は、DOEACC資格の認定証(レベル「A」、「B」又は「C」に限る。) 1通
- 在職証明書等で、関連する業務に従事した期間を証明する文書(大学、高等専門学校、高等学校又は専修学校の専門課程において当該技術又は知識に係る科目を専攻した期間の記載された当該学校からの証明書を含む。) 1通
- IT技術者については、法務大臣が特例告示をもって定める「情報処理技術」に関する試験又は資格の合格証書又は資格証書 1通
- 外国の文化に基盤を有する思考又は感受性を必要とする業務に従事する場合(大学を卒業した者が翻訳・通訳又は語学の指導に従事する場合を除く。)は、関連する業務について3年以上の実務経験を証明する文書 1通
- 登記事項証明書 1通
- 事業内容を明らかにする次のいずれかの資料
(1)勤務先等の沿革、役員、組織、事業内容(主要取引先と取引実績を含む。)等が詳細に記載された案内書 1通
(2)その他の勤務先等の作成した上記(1)に準ずる文書 1通 - 直近の年度の決算文書の写し。新規事業の場合は事業計画書 1通
家族の帯同
在留資格「技人国」を持っている方が家族を日本に呼ぶ方法については以下のとおりです。
家族滞在の要件
在留資格の「家族滞在」は、扶養者に扶養の意志があり、家族を扶養する能力があり、扶養を受ける側は、扶養者の配偶者か子であることが必要です。
家族滞在の必要書類
- 在留資格認定証明書交付申請書(出入国在留管理庁ホームページより取得)
- 写真(横3cm×縦4cm 3か月以内に撮影されたもの) ×1
- 返信用封筒(定形封筒に宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの) ×1
- 申請人と扶養者との身分関係を証する文書(いずれか1通):戸籍謄本、結婚証明書(写し)、出生証明書(写し)
- 扶養者の在留カードまたはパスポートの写し
- 扶養者の職業及び収入を証する文書:在職証明書又は営業許可書の写し(扶養者の職業が分かる証明書)、住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)または上記に準ずるもので、申請人の生活費用を支弁することができることを証するもの
家族滞在手続きの流れ
申請人は、本国に住む扶養者の配偶者や子供となりますので、実際には扶養者が住所を管轄する出入国在留管理局へ「代理で」申請を行うことになります。なお、審査には1ヶ月〜3ヶ月程度かかります。
家族滞在の在留資格認定証明書交付の申請
扶養者の住所を管轄する出入国在留管理局に対し、扶養者が「家族滞在」の在留資格認定証明書交付申請を行います。書類の不備や記入漏れなどの注意が必要です。
「在留資格認定証明書」が発給されたら本国の家族へ送付
審査が終了し、許可がおりると「在留資格認定証明書」を封書で受け取れますので、本国の家族へその「在留資格認定証明書」を郵送します。在留資格認定証明書の有効期限は3ヶ月です。それまでに入国するようにしましょう。
本国の日本大使館、領事館で在留資格認定証明書その他の書類を提出し、VISA(査証)を申請
家族が本国の日本大使館、領事館でVISA(査証)の申請を行います。1~2週間ほどで発給されます。
VISA(査証)で日本へ渡航
VISAにより日本に入国します。日本の空港や港で上陸審査を受け、入国できます。
在留資格の各種申請手続きについてぜひご相談を
在留資格「技人国」は、日本で専門的な知識や技能を活かして働く外国人のための代表的な就労ビザです。当事務所では、申請取次行政書士が、確実かつ迅速な申請をサポートいたします。
サポート内容
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更・更新申請
- 雇用契約書・職務内容証明書の作成支援
- 学歴・職歴の適合性チェック
- 入管審査に通るための理由書作成
対象職種
- ITエンジニア、プログラマー、研究開発職
- 経理、マーケティング、広報、コンサルタント
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- 在留資格の取得・変更・更新手続きを代行
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対応職種・業種
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