飼い犬が他人を咬んでしまったとき、他人の犬に咬まれてしまった場合

飼い犬が他人を咬んでしまった、あるいは他人のペットに咬まれたときは、しっかりと対応する必要があります。各自治体においても規則があり、それに従って対応する必要があります。東京都の場合を例に見てみます。
飼い主のやること
自分の飼い犬が何らかの原因により他人を咬んでしまった場合、「東京都動物の愛護及び管理に関する条例」に基づき飼い主は以下の対応をする必要があります。
- 被害者に対し、直ちに適切な応急処置及び新たな事故の発生を防止する措置を講じる。(必要により警察への通報や救急出動を要請) 被害者の傷口をすぐに消毒し、医師に診察させてください。飼い犬に対しては咬傷事故が再び発生することのないよう、適切な対応を行う。
- 事故発生から 24 時間以内に、動物愛護相談センター又は保健所に「事故発生届」を提出 傷の大小に関わらず、事故発生から24時間以内に事故の詳細について、事故発生届(東京都のHPに様式あり)を提出します。なお、事故発生届は、電子申請による提出できます。
- 事故発生から48時間以内にその犬を「狂犬病」の疑いの有無について獣医師に検診してもらう。 複数回の検診が必要になる場合があります。犬の登録・狂犬病予防注射の実施状況、咬傷動機が明らかかどうかにより検診回数が決まっています。また、必要な回数の検診を受診後は、地域の保健所へ獣医師による「検診証明」を提出する必要があります。
咬まれた人がやること
他人の飼犬に咬まれたら、飼い主の連絡先を入手し、医師の手当てを受けてください。そして飼い主の側から狂犬病のワクチン証明書の提示をうけます。併せて保健所への「事故発生届」をするように伝えてください。もし飼い主の情報がわからない場合、わかる範囲で(咬まれた場所、犬の特徴・性別・種類・毛色・大きさなど)保健所へ連絡します(事故被害届)。
民事責任・刑事責任
民事責任
民法第718条では、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りでない」と定められています。
他人の犬に咬まれた場合、相手方に対して民事責任を追及できます。飼い犬が人を咬むことは不法行為となり、その飼い主などは不法行為に基づく損害賠償責任を負います。
- 治療費、通院交通費、休業補償、慰謝料、衣類などの弁償を請求することができます。
刑事責任の可能性も
他人の犬にかまれた場合、飼い主などに過失がある場合には「過失傷害罪」で訴えることも可能となります。
ここで言う「過失」とは、リードをつけない、オリのカギがかかっていないなどです。また、飼い犬にわざと他人を襲うようにけしかけた場合、相手の状態により「傷害罪」などが成立することも考えられます。
示談書の作成を
他人の犬に咬まれたときの「示談書」は、トラブルの再発防止と損害賠償の明確化を目的に作成します。
示談書の作成は以下のとおりです。
- 事故の事実について記載
- 発生日時・場所・犬種・被害状況を明記
- 飼い主の過失(例:リード未装着)なども記載
- 損害内容の記載
- 治療費、交通費、慰謝料、休業損害などを算出し、領収書や診断書を添付できるよう準備
- 示談条件の決定
- 支払金額と支払期日
- 今後の請求放棄(「これ以上請求しない」など)
- 書面の作成
- 2通作成し、双方が署名・捺印する。複数ページの場合は契印し、2部を重ねて割印する。
- 各自1通を保管
- なお、公証役場で公正証書とすることでより確実な執行ができます。
記載内容のポイント
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 事故の詳細 | 令和〇年〇月〇日、〇〇市〇〇町にて発生 |
| 犬の情報 | 犬種・名前・飼い主の氏名 |
| 被害内容 | 咬まれた場所、程度、深さ、治療内容、全治〇週間 |
| 支払条件 | 金〇〇万円を〇月〇日までに支払う |
| 今後の対応 | 本件に関して相互に今後一切の請求を行わない |
※ペット保険や傷害保険が適用される場合もあるので飼い主に確認しましょう。
被害者側にも過失がある場合は過失相殺の可能性あり、また、交渉が難航するようであれば弁護士を立てるなど、専門家に相談しましょう。
事故発生届や示談書の作成など、ご支援することができますので、ぜひご相談ください。
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