みなさんこんにちは。いかがおすごしでしょうか。
自筆証書遺言書を作成する場合、その全文、日付、氏名は自書することが必要です(民法第968条第1項)。日付の記載に不備があると遺言書全体が無効になる可能性があります。
日付の記載について、和暦(令和○年○月○日)でも西暦(2025年○月○日)でも構いません。自書で年月日まで正確に記載することが必要です。
※日本では歴史的に太陰太陽暦(旧暦)、皇紀(神武天皇即位紀元:紀元前660年を元年とする)も使われてきましたが、現在は法的文書では使用不可です。日本では1873年(明治6年)にグレゴリオ暦(太陽暦)を正式採用し、それ以降は太陰太陽暦(旧暦)や皇歴は廃止されました。暦の標準性がない(法的に採用されていない)、現在の法律・行政文書・公的手続きでは、太陽暦(西暦または元号)以外は認められていません。
無効となる日付の書き方は
- 「2025年5月吉日」 「吉日」では、日付が特定できず、日付を欠くものとみなされて形式不備になります。
- 「2025年5月55日」 「55日」という日は暦上にありませんので、日付の特定ができず形式不備になり無効となるでしょう。
- 「2025年6月31日」 この場合、6月には「31日」は暦上にありませんので日付の特定ができませんが、遺言者の真意が「6月末日(=6月30日)」であると容易に特定できる場合には、有効と判断される可能性もあると考えられます。最高裁判例でも、「誤記であること」と「真実の作成日が記載その他から容易に判明する場合」には、遺言は無効とならないとされています。
- 「私の誕生日」 この書き方では、いつの誕生日かが特定できませんので、無効となります。ただし、2025年5月20日(私の誕生日)と記載されていれば、日付が特定されていますので有効と考えられます。「2025年の私の誕生日」と記載した場合、暦上で特定可能な日付であることが明らかであれば、有効とされる可能性があると考えられます。実際に判例では、「記念日などの表記でも、特定可能であれば有効」とする傾向もあるようです。しかし、確実に有効となる保証はないので、しっかりと暦上の年月日を記載しましょう。

