離婚する!財産分与はこうなる

家族

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

離婚をする場合には財産分与が伴います。財産分与とは、財産関係の清算や離婚後の扶養などのために配偶者の一方から他方へなされる財産の分与です。どのような分与方法があるのでしょうか。

財産の種類

夫婦の財産は大きく3つに分けられます。

特有財産

特有財産とは、名義も、所有・処分の権限も夫婦一方にある財産です。その財産の取得について他方の協力がなかったもの、夫婦各自の専用の物です。例えば、結婚前から持っている趣味のものや、結婚前の預貯金・不動産、個人宛てに贈与されたもの、個人の損害に対する補償などです。

なお、特有財産とするためには実質的に自己の物であることを立証する必要があります。この立証がない場合は、共有の財産であるという推定が働くことになります。

共有財産

共有財産とは、名義も実質も夫婦の共有となる財産です。具体的には、共同生活に必要な家財や夫婦の協力で取得した共有名義の不動産などです。

実質的共有財産

実質的共有財産とは、名義は夫婦の一方になっているものの、実質的には共有となる財産です。婚姻中に夫婦の協力により取得されたのに名義が夫婦の一方になっているものです。例えば婚姻中の収入から貯めた夫又は妻名義の預貯金とか、夫婦の収入やローンで購入した不動産で名義がどちらか一方になっているもの、婚姻中の資金で取得した株券で夫婦のどちらかの名義になっているもの、将来給付される予定の退職金などです。

財産分与の方法

財産分与の方法には「清算的財産分与」と「扶養的財産分与」があります。

清算的財産分与

財産関係の清算のための財産分与で、婚姻後に形成した財産について、双方の財産形成に対する経済的貢献度、寄与度を考慮し、実質的公平になるように分配するものです。離婚の際に当事者で協議し、離婚協議書において明記することになります。

財産分与の割合を決定するにあたっては、原則として2分の1が適用されます。これは、2024年5月の民法改正で定められた内容で、原則として寄与の割合は相等しいものと規定されているからです。「婚姻中の財産の取得又は維持についての各当事者の寄与の程度は、その程度が異なることが明らかでないときは、相等しいものとする。」とされ、裁判上でもこの原則が取られています。

協議が整わない場合には家庭裁判所に申し立てて処分を請求することができます(離婚のときから5年以内)。家庭裁判所においては、各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力及び扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業及び収入その他一切の事情を考慮して定めることとなりますが、裁判実務では、法改正の前から「2分の1ルール」が適用されているようです。

この清算的財産分与の対象になる財産は、「名義の如何を問わず、婚姻後、夫婦が協力して取得した財産」であり、上記の「共有財産」及び「実質的共有財産」です。夫婦の一方に属する特有財産は清算の対象にはなりません。

扶養的財産分与

扶養的財産分与とは、離婚した配偶者の一方が他方を扶養するための財産分与です。扶養とは、経済的に生活の面倒をみることですが、夫婦である間は法的にも扶養の義務がありますが、離婚した場合には、例外的に特別の事情がある場合に限られます。

離婚後の扶養は、清算的財産分与や慰謝料を受領してもなお離婚後の生活に困窮するような場合に、補充的に認められると言えるでしょう。

なお、有責配偶者にはこの扶養的財産分与は認められないという考えが一般的です。

ちなみに夫婦名義の銀行口座はできないのか

多くの場合、預貯金が共有財産となりますが、現実的には夫婦それぞれが個人の銀行口座を持っています。夫の給料は夫の口座へ、妻の給料は妻の口座へ入金されます。夫の方が収入が多い場合には夫の口座名義であってもその中の預貯金は妻との共有財産になる可能性が高いです。

現在では、夫婦名義の銀行口座は作ることができません。これは、口座の管理責任や法的なトラブルを避けるためです。たとえば、誰が引き出したか、誰が責任を負うかなどが曖昧になるのを防ぐためです。その代わりに夫婦で利用可能な方法として、名義人以外の家族が使える「代理人カード」を発行している銀行もあります。

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