みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
厚生労働省の「令和6年(2024)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によれば、婚姻件数は増加婚姻件数は48万5063組で、前年の47万4741組より1万322組増加し、婚姻率(人口1000人に対して)は4.0で、前年の3.9より上昇したそうです。また、平均初婚年齢は、夫が31.1歳で前年と同年齢、妻が29.8歳で前年の29.7歳より上昇しているそうです。一方、離婚件数は増加しており、年間18万5895組で、前年の18万3814組より2081組増加し、離婚率(人口1000人に対して)は1.55で、前年の1.52より上昇しているということです。ちなみに、男女ともに、もっとも多かった離婚理由は、性格が合わない(性格の不一致)でした。
なお、世間では3組に1組が離婚すると言われていますが、これは結婚件数に対する離婚件数の割合を示したもので(2024年度では38%:特殊離婚率)、厳密にいえば指標として正しくはないと考えられます。
さて、離婚も身近な家族間の問題でありますが、結婚、離婚は届け出により戸籍が変わり、法律上の効果を生じるものです。では離婚した夫婦、それぞれは、離婚歴を隠すことができるのでしょうか。
戸籍の筆頭者が夫のケースで見てみましょう。
結婚による新戸籍の編製
ご存知のとおり、結婚すると新戸籍が編製されます。夫婦が婚姻届を提出し、どちらかの姓を選択した場合、選択された姓の人が筆頭者となり、新しい戸籍が作られます。親の戸籍に入っていた未婚者同士が結婚した場合は、それぞれの親の戸籍から除籍され、夫婦の新戸籍が編製されることとなります。現状では夫の姓を名乗り、夫が戸籍の筆頭者となっているケースが多いです。
なお、本籍地の選定は自由ですので、原則として日本国内であれば自由に選定することができます。皇居(東京都千代田区千代田1番1)や東京タワーなどを本籍地にする人もいます。
離婚すると戸籍はどうなる?
夫婦が離婚すると、筆頭者である夫の戸籍には離婚した事実が記載されます。
一方、筆頭者でない妻は夫婦の戸籍から除籍されます。
※「除籍」とは、戸籍から除かれることで、婚姻により親の戸籍から除かれ、離婚により夫婦の戸籍から除かれ、死亡により戸籍から除かれるなどのケースがあります。
除籍された側(夫の戸籍から出た妻(妻の戸籍から出た夫))の戸籍は
筆頭者でない妻は、夫婦の戸籍から除籍されますが、原則としては戸籍法第19条により婚姻前の戸籍に戻る(復籍)ことになります。復籍した場合には、復籍した戸籍に「離婚」の記載がなされます。
ただし、前の戸籍がすでに除籍簿に入っていたり、本人が新戸籍を望んだ場合には前の戸籍に戻らずに除籍された妻(又は夫)を筆頭者とした新戸籍がつくられます。
この新戸籍の編製の場合、同一の市区町村以外の本籍地とすることにより、離婚の記載が引き継がれないことになります。
新戸籍に離婚の記載はされない
戸籍法第39条では、新戸籍に移記される身分事項が定められていますが、離婚歴はその対象に含まれていません。つまり、新戸籍が編製された場合、離婚歴は記載されないことになります。離婚歴を記載させたくない場合は、他の市区町村への転籍(管外転籍)が必要です。これにより新しい戸籍が編製され、離婚歴は移記されません。
転籍、分籍の場合
転籍とは、戸籍の本籍地を変更することです。現在の戸籍から抜けて、別の市区町村を本籍地とする「管外転籍」を行うことにより、新しい戸籍が編製されます。その場合は、離婚歴は引き継がれないこととなります。一方、同一の市区町村内を本籍地とする管内転籍では、新戸籍はつくられないため、離婚歴は残ります。
戸籍の筆頭者である夫が、離婚歴を消すためには、本籍地を別の市区町村とする転籍を行うことにより離婚歴を消すことができることとなります。
分籍とは、筆頭者以外の人が現在の戸籍から抜けて自分を筆頭者とする新戸籍を作る手続きです。先ほどの例で、妻が復籍して結婚前の戸籍に戻ったのち、他の市区町村を本籍地とする分籍をして新戸籍をつくった場合にも離婚歴は引き継がれません。
離婚した夫婦双方とも離婚歴は隠すことができる
以上のとおり、戸籍筆頭者である夫は別の市区町村を本籍地とする転籍により離婚歴を隠すことができ、離婚によって除籍となった妻は、復籍の場合は分籍をして別の市区町村を本籍地とする新戸籍を作ることにより、また、離婚時に新戸籍を作ることにより、離婚歴を隠すことができるということでした。
過去の戸籍(除籍謄本)には離婚歴が残ります
転籍や新戸籍の作成で現在の戸籍では離婚歴はなくとも、過去の戸籍(除籍謄本)には離婚歴は残りますので、戸籍上、完全に離婚歴を消すことはできません。あくまでも現在の戸籍簿における身分事項に記載されていないということに留まりますので、ご注意ください。
本当に隠す必要があるのか
自分の過去を完全に消すことはできません。本当に隠す必要があるのか、目的をよく検討して対応することが必要ではないでしょうか。

