遺言書における不動産の特定

遺言

みなさんこんにちは。いかがおすごしでしょうか。

遺言書は、記載方法に注意して書く必要があります。特に相続財産については、特定できる書き方である必要があります。

遺言者が不動産を複数所有している場合に、遺言書で不動産を特定するには、登記簿に記載されている情報を正確に記載することが不可欠です。曖昧な表現では名義変更(相続登記)ができない可能性があります。「横浜の海辺の土地は長男に、山側の土地は次男に、中間の土地は長女に」などの記載では、不動産の特定が不十分です。「海辺」「山側」「中間」といった表現は地理的に曖昧で、登記簿上の土地を特定できません。相続登記を行うには、「横浜市○○区○○町○番○」などの具体的な地番・地積・地目が必要です。相続人間の解釈の違いによる争いの可能性もあります。「海辺」「山側」「中間」がどの土地を指すか相続人間で認識が異なる可能性があるからです。また、登記の際に登記官が判断できないため登記できないことになり、拒否される可能性が高いです。こうなると、遺言の内容が実現しないことになりますね。

書き方の具体例

土地の場合(宅地、農地、山林など)

  • 所在:市区町村名、町名、丁目など
  • 地番:土地の登記上の番号
  • 地目:宅地、田、畑、山林など
  • 地積:面積(例:120.00㎡)

(例)所在   東京都武蔵野市吉祥寺本町○丁目
   地番   ○番○
   地目   宅地
   地積   120.00㎡

建物の場合

  • 所在:土地と同様に住所
  • 家屋番号:登記上の建物番号
  • 種類:居宅、店舗、工場など
  • 構造:木造、鉄筋コンクリート造など
  • 床面積:階ごとの面積

(例)所在   東京都武蔵野市吉祥寺本町○丁目
   家屋番号 ○番○
   種類   居宅
   構造   木造スレート葺2階建
   床面積  1階 60.00㎡、2階 50.00㎡

マンションの場合

  • 敷地権の目的である土地の表示(地番・地目・地積)
  • 専有部分の表示(家屋番号・種類・構造・床面積)
  • 敷地権の表示(所有権・持分割合)

(例)(一棟の建物の表示)
   所在地   東京都武蔵野市吉祥寺本町〇丁目〇〇番地
   建物の名称 ○○マンション
   (専有部分の建物の表示)
   家屋番号  ○○番○○
   建物の名称 ○○号室
   種類   居宅
   構造   鉄筋コンクリート造り○階建
   床面積  ○階部分 ○○平方メートル
   (敷地権の目的である土地の表示)
   所在地番 東京都武蔵野市吉祥寺本町〇丁目〇〇番地
   地目   宅地
   面積   5000.00平方メートル
   (敷地権の表示)
   符号   1
   種類   所有権
   割合   12345分の678

曖昧な表示はせず、特定可能な表示をしましょう。専門家にご相談することをお勧めします。

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