相続人全員が合意!遺言書と異なる遺産分割もできる

相続

みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。

故人(被相続人)が遺言書を残していた場合、原則としてはその遺言書通りの財産の相続になります。しかしながら、相続人が全員の合意をもって、その遺言書とはことなる取り分をきめることができるのです。

遺言書の効力

遺言書は、被相続人の最終の意思として遺言者が亡くなった瞬間から効力を生じます。遺言でできることは、

  • 相続分の指定:法定相続分とは違う割合で分けることができる。
  • 遺産分割方法の指定:誰に何を渡すかを具体的に決められる。
  • 遺贈:相続人以外の人にも財産を渡せる(内縁の妻や孫など)。
  • 認知:婚外子を認知することもできる。
  • 相続人の廃除・取消し:虐待などがあった相続人の権利を奪うことも可能。
  • 遺言執行者の指定:遺言の内容を実行する人を決められる。

但し、遺留分を侵害する遺言内容については、侵害された相続人は、遺留分侵害額請求をすることができます。

相続人全員の合意は、遺言書より強いが

遺言書において、上記の相続分の指定がなされたとしても、相続人全員の合意があれば遺言どおりの分割でなく、遺産分割協議という形で遺言の内容と異なる相続分の割当てを行うことができます。遺言書は故人の意思を尊重するためのものですが、判例、実務においては相続人全員の合意があれば、遺言内容に反する分割も認められることになっています。これは「遺言絶対の原則」に対する柔軟な対応で、家族間の納得や公平を重視する考え方といえるでしょう。

ただし、認知、相続人の廃除、取消し、遺言執行者の指定によりすでに就任している場合については、これを相続人の全員の合意によっても変更することはできないとされています。例えば認知や相続人の廃除は身分行為ですので、相続人が口出しできることではないのです

遺言書に「分割協議を禁止する」と記載がある場合、相続人全員の合意によっても遺言と異なる分割ができない

相続分の指定や遺産分割方法の指定は、遺言書よりも相続人全員の合意があればそちらが優先されると言いましたが、遺言書の中で「分割協議を禁止する」旨の記載がある場合、相続人全員の合意があっても遺言と異なる分割は原則としてできませんので注意が必要です。民法第907条では「共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる」、つまり、遺言で分割協議を禁止している場合は、その禁止が優先されるってことになっているのです。「分割協議をしてはならない」と明示されている遺言書の場合は、その意思を尊重しなければならないということです。

ご自身で遺言書を作成される場合、どうしても誰かに何かを相続させたい場合には、この「分割協議禁止」の一文を入れておくと良いでしょう。

「本遺言により指定した遺産分割方法について、相続人間での分割協議を禁止する。」

いかがでしょうか。

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