みなさんこんにちは。いかがお過ごしでしょうか。
現代における結婚に対する考え方は様々です。ひと昔前までは家制度の影響からか結婚は義務、社会的・経済的に「結婚=安定」、「適齢期」と言われた時期があったり、男女の役割分担(男性=稼ぎ手、女性=家庭)が明確であったりしました。
昨今では個人の考えを大切にし、結婚はしてもしなくてもいい選択肢の一つ、事実婚・同性婚など多様化、夫婦共働きが一般的となり経済力や家事など相手に求める条件の変化など、自由に選択できる制度として認識されています。
同棲
「同棲」とは、「一つ家にいっしょに住むこと」。 特に、「法律上の婚姻関係にない男女が同じ家に住んで生活を営むこと。(広辞苑)」です。簡単に言えば「恋人同士が同じ家で暮らすこと」です。
同棲をする理由
- 結婚を見据えて結婚生活のシミュレーション、価値観や生活習慣をお互いにもっとよく知る
- 一緒に過ごす時間を増やしたい
- 生活費の節約をしたい。家賃や光熱費をおさえる
- 一人暮らしよりも家事を分担できて時間的、体力的な負担が軽くなる
同棲に法的効力はない
同棲には法的な効力は発生しません。同棲しているだけでは法的な権利や義務はほとんど認められません。
- 相続権:なし。法定相続人にはなりません(遺言で遺贈は可能ですが)。
- 財産分与権:なし。
- 社会保険の扶養:なし。
- 慰謝料請求権:なし。浮気されても慰謝料請求できません。婚姻関係にないからです。
同棲とは一緒に住んでいるだけの状態
同棲は、基本的に「一緒に住んでいるだけ」の状態であり、夫婦としての法的保護は受けられません。将来の結婚を見据えて一緒にいる時間を大事に過ごす期間と言えるのかと思います。
事実婚
事実婚とは、婚姻届を提出していないが、夫婦として共同生活を営んでいる関係のことです。法律上は「未婚」と扱われますが、実態としては夫婦同然の生活をしているため、社会保険や遺族年金など一定の法的保護が認められるケースもあります。
事実婚が成立するためには、一定の「事実」と「意思」が伴っていることが必要です。具体的には、
- 婚姻意思:社会通念上の夫婦になる意思。
- 共同生活:夫婦同然の共同生活をしていること(同居・家計の共有など)
法律婚との主な違い
| 項目 | 事実婚 | 法律婚 |
| 婚姻届 | 提出しない | 提出する |
| 戸籍 | 別々のまま | 夫婦の戸籍 |
| 姓 | それぞれの姓のまま | 同一の姓 |
| 相続権 | なし(遺言で遺贈可能) | あり(配偶者は常に相続人) |
| 税制優遇 | なし | 配偶者控除などあり |
| 夫婦関係の証明 | ※住民票や公正証書の作成など | 戸籍など |
※住民票における「未届けの妻(夫)」の記載
住民票には「未届けの妻(夫)」という記載ができることをご存知でしょうか。住民票における「未届の妻(夫)」の記載は、事実婚の関係性を公的に示す方法のひとつです。これは、婚姻届を提出していないけれど、夫婦として生活していることを住民票上で表現するものです。住民票の「続柄」の欄に「妻(未届)」または「夫(未届)」と記載されます。事実婚を証明する資料として、遺族年金の申請や社会保障の申請などに利用することがあります。両者が独身、婚姻の意思があること、同じ住所であることが基本要件です。
※事実婚を証明する「公正証書」
事実婚を証明するための手段としてもう一つ、事実婚であることを公正証書化しておくことです。具体的には、事実婚の契約書を作成し、それを公証役場で公証人に公正証書として作成してもらう方法です。契約書の内容としては、婚姻意思が双方にあることの確認、夫婦としての権利と義務、婚姻関係解消について(不貞行為など)及び慰謝料、子供の親権・養育費・財産分与、医療行為への同意、遺言作成について、など、法律婚であれば法律上夫婦としての権利義務関係を契約書で具体的に定めることとなります。事実婚のための契約書の参考例もネット上に多数ありますのでご参考にしてください。
※自治体のパートナーシップ制度
自治体のパートナーシップ制度とは、同性のカップルなど婚姻届を提出できない、または提出しないカップルに対して、自治体が「婚姻に相当する関係」と認める制度です。これは法的な結婚ではありませんので、法律婚とは異なり、相続権や税制優遇などは受けられませんが、社会的・行政的な配慮を受けやすくなります。2023年時点で全国の328以上の自治体が導入しているということです。
同棲と事実婚の共通点と相違点
同棲と事実婚の共通点は以下の事柄があげられるでしょう。
- 婚姻届を提出していない:どちらも法律上の「婚姻関係」ではない。従って相続権が発生しない。
- 一緒に生活している:同居し、生活を共にしている。
- パートナーシップ:お互い愛情や信頼を持っている
相違点は以下の点があげられます。
| 項目 | 同棲 | 事実婚 |
| 法的保護 | なし | 社会保険関係など一部の法律では「婚姻に準ずる関係」として保護されることがある |
| 姓 | それぞれの姓を使う | 法的には同一の姓ではないが、通称で同じ姓を使うこともある |
| 住民票 | 別世帯 | 同一世帯で「未届の夫」「未届の妻」と記載されることがある |
| 社会保障、税制 | なし | 条件により社会保険の対象となり得る |
| 周囲の認識 | 恋人が同居している状態 | 夫婦、夫婦に準じる関係 |
同棲と事実婚は同じではありません
カップルがお互いどのように考えて同居しているのか、法的保護の観点からも確認することも必要なのかもしれません。

